それは ゴーポンがソムリエになりたてホヤホヤの、ある夏のお盆のディナータイム時に起こりました。
その日は5時頃から夕立があり、とても蒸し暑く、なんとなくスタッフの士気もイマイチ盛り下がっているような空気が流れておりました。
お盆という事もあってその日のディナータイムはほぼ満席になるくらいの予約が入っており、スタッフもそのためか緊張し、笑顔すらなく、ゴーポンはただただ、無事に今日一日が過ぎてくれる事を望むばかりでした。
18時30分。
5割ほど席が埋まりかけた頃、そのお客様一行は来店されました。小学生くらいの女の子と中学生くらいの男の子がいる家族連れの7名様グループでした。少し緊張されている様な気もしましたが、ごく普通の家族旅行って感じのグループでした。
その頃ゴーポンは他のテーブルで忙しく、あたふたと走り回っており、そのお客様のテーブルは一番信用のおける後輩のH君に担当させました。
なれた口調でリズム良くお料理のご説明後、お飲み物のオーダーを頂いた彼のメモには 先日新しく仕入れたばかりの「シャトーLM」の名前がありました。
(おっ、早速売ってきたのか。なかなかやるねぇ)などと思いつつ、ゴーポンはその場を後にしました。
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事件は起こりました。
それは何の前触れも無く、ゴーポンに忍び寄っておりました。
血相を変え、ゴーポンに擦り寄ってきたH君は目を潤ませながら僕にとんでもなく恐ろしいことを口にしたのです。
ゴーポン:「H君、どうした?何かあった?」
H君:「は、は、はい、」
ゴーポン:「な、何?」
H君:「は、はい、ホストテイスティングの時、グラスにワインを注いだら、
な、何かワインが糸を引いたような・・・・・・・」
ゴーポン:「ナッ、何ぃーーーっつ」
事件の幕開けでした。
つづく