H君:「は、はいそ、そのぉ、なんて言うか、ぼくもワインをグラスに注ぐ一瞬しか見てなかったんですけどぉ、なんていうか あのぉ、今までのワインには無い粘り気というか 糸を引いたような感じがしまして…」
ゴーポン:「お前よぉ、彼女の事考えながらサービスしてたんじゃねぇの!ボケた事言ってんじゃねぇぞ!」
今の所、お客様からのクレームはありません。
ソムリエになってホヤホヤのぼくはそんな事ある訳無いとタカをくくっていたのでした。
ぼくは同じワインをもう一本開けて確認する事にしました。
ゴーポン:「A君ーん、忙しいところ悪いんだけどぉ、シャトーLM一本持って来て」。
新人で事情を知らないA君は笑顔でワインを持ってきます。
店内ではスタッフ皆、運動会のように走り回っています。
イライラする瞬間です。
ゴーポン:「はよう持ってこんかぁい!」
A君:「はぁ?」
ワインを取り上げるように受け取り、早速栓を開け、グラスに注ぎました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」。
そこには松田優作さんがいました。
「なっ、なんじゃこりゃ!」
つづく