心に残るお客様

皆さんこんにちは。

今年も残すところ後、10日足らずとなりました。今年も私達のお店にもたくさんのお客様がいらっしゃいました。本当に有難く思います。私達のお店にお越しいただいたお客様、その多くは飛騨高山へ観光に訪れる方なのですが、およそ、3万人を超えるお客様にご利用いただきました。常連のお客様をはじめ、観光のお客様、地元の食事会など、さまざまです。年間に訪れるこれだけのお客様をすべて記憶にとどめておく事が出来れば良いのですが、私の頭ではそれはそれは無理なようです。しかしながら、これだけ多くのお客様の中で、初めてのご来店にもかかわらず、心に残る、忘れられないお客様という方々がいらっしゃいます。

今年も心に残るお客様が何組かいらっしゃいました。

その中でも特に印象に残っているお客様は小さなお子様がいらっしゃる、家族連れのお客様でした。ある日のランチタイム。その日は秋の連休で、あいにく店内は満席状態でした。待ちのお客様もちらほら出始めた頃、その家族連れのお客様は来店されました。待ち時間20分も過ぎた頃、ようやくそのお客様のお席が用意できました。しかし、時すでに遅し、そのお子様は待ちくたびれて今にも泣き出しそうです。「どうかお願い、静かにしてて」と祈りつつ、席へとご案内しました。するとどうでしょう、そのお子様は「待ってました!」とばかりに大声で泣き始めたのです。ご両親は勿論のこと、フロアスタッフも気がきでなりません。他のお席のお客様も少しイラつきだしました。スタッフもどうしたものかと困惑気味です。

その時です。

「ごめんなさい、子供が泣き止まないので、またの機会に出直します」

と言われ、そのご家族は早々と店を後にしたのです。20分以上も待った挙句、やっと食事にありつけたのに そのご両親は周りのお客様への迷惑を考え、何の不満もおっしゃらずお帰りになったのです。私は何と申上げて良いのか判らぬまま、頭を下げながらお見送りせざるをえませんでした。ほかのお客様に対してホッとした気持ちと、お帰りになったご家族に申し訳ないという気持ちで、言葉には出来ないシコリが残りました。

今でもそのご家族がお帰りになる後姿が眼に浮かびます。もう一度、必ずご来店頂ける事を願って止みません。

ところで皆さん、小さなお子様連れの方のレストラン利用についてどう思われますか。

私たちのレストランは観光地にあるという性格上、お子様連れのお客様にも何の制限も設けずご利用頂いております。しかし、残念ながら、この事が原因で苦情を言われることもしばしばです。本来、レストランなどの公共の場ではすべて大人のルールで動いているものだと思います。映画館やホテルも同じです。このような場所へお子様を連れて行かれるときは他のお客様に迷惑にならないように大人の方が気を配る事も大切なマナーだと思います。欧米の国々では公共の場に子供を連れて行くこと自体、タブーという考え方があります。中学生くらいまではあまりレストランへは連れてってもらえないようです。日本ではなかなかそういった考えが浸透していないのが現状です。実際、レストラン内で子供がはしゃいでいても、「走ると危ないよ」というのが精一杯です。それ以上のことは言いたくても言えないのが現状です。何とか親御さんに気づいて欲しいのですが、そのような気配りの出来る方は本当に少なくなりました。日本のレストランの現状を考えますと、欧米のようには行かないと思います。

ですからもっとレストランを利用してくださるお客様が、利用目的を超えて、歩み寄ることが出来ればもっとよい環境が出来上がるように思います。

「大人の方はより寛容に」、「お子様連れの方はもっと周りに気配りを」。

皆さんはどう思われますか。 最近、PTAの間ではモンスターペアレンツなる父兄が問題になっているようですが、この様な事が公共の場でもはびこらない事を願って止みません。

先程お話したお子様連れのお客様は、このような意味では、とても素敵な判断をなさったと思います。

この様な事は私たちのようなレストランにとっては永遠に解決できないテーマかもしれません。しかし何とか良い方向に向かうように日々勉強していく姿勢でいることが大切だと思っています。来年もお客様に喜んで頂けるように頑張りたいと思ってます。このコーナーは来年も続けて行く予定です。皆さんのお役に少しでもなればと思ってます。どうぞ宜しくお願いします。来年も皆さん良い年でありますように…。